甲子園の土の謎を解明!毎年春夏2回、誰かに話せる鉄板ネタ!
今回は「甲子園の土の謎」についてのお話しです。
毎年春と夏に開催される高校野球全国大会。テレビ放送されるので、毎年春と夏には欠かさず見ているという人も多いことでしょう。
1930~40年代から始まったと言われる、高校球児が甲子園の土を持ち帰る慣習。誰もが一度は目にしたことがあると思います。あの土について単純な疑問を持ったことはありませんか?その謎を解明していきます。
毎年2トンの土が出ていく
高校野球の全国大会は、最大で1日当たり4試合が行われます。土を持ち帰るチームがほぼ毎日3~4高校あるということですから、持ち帰る土の量もかなりの量になることが想定できます。
しかも、そこそこの量を1人の選手が持ち帰っているようにも見えます。高校野球だけではないと思いますが年間約2トンもの土が出ていくそうです。
とはいえ、高校球児たちが試合の度にそこそこの量の土を持ち帰っても、球場から土がなくなってしまうことはあってはなりません。当然ですが、土の管理がプロのスタッフによってしっかり行われているます。野球ファンの間では有名な園芸会社が管理しています。
起源は解ってない
この大会では、試合後に負けた高校が甲子園の土を袋に入れて持ち帰るのが慣習となっています。公開練習の時にも土を持ち帰ることは出来るそうですが、負けた悔しさを忘れないと言う意味合いもあって、試合後に土を集めて持ち帰る慣習が出来たとも言われています。絶対にまた来るという思いを込めてあえて持ち帰らない球児もいるそうです。しかしこの習慣の起源は今でもはっきりとは解っていないのです。
綿密な計算でブレンド
甲子園の土は、数種類の土をブレンドしたものが使われています。毎年同じ場所から土を持ってくるわけではなく、複数の場所から土を持ってきて、綿密な計算をしながら土の配合が決定されているのです。
具体的な採取場所としては、岡山県の日本原や鹿児島県の鹿屋、三重県の鈴鹿の土や大分県の大野郡の土などが挙げられます。また、鳥取県大山の土や淡路島の土が使われたこともありました。
現在では、中国福建省の土や、瀬戸内海の砂浜から採取された砂や土が配合されることもあり、バラエティーに富んだ配合となっています。
もちろん、すべての場所から取り寄せた土を混ぜるというわけではありません。それぞれの土や砂の性質や状態を調べ、どこの土が適しているかを考慮しながら、慎重にブレンドしていきます。
もはやアート
複数の土を混ぜる理由としては、それぞれの土が持つ特徴が異なるという点が挙げられます。甲子園の特徴である美しい黒土を維持するため、年ごとに配合が調整されています。
野球場に求められる土の質は、打球が跳ねすぎないような固さと同時に、選手が走りやすいよう適度な柔らかさも必要です。加えて、水持ちと水はけが良い土質でなければいけません。
様々なタイプの土を配合しながら理想的な土を作り出しているという点で、甲子園球場の土は一種のアートということができるでしょう。
春夏でも違うこだわり
春の選抜大会と夏の全国大会ではブレンドされている土の種類が異なります。その背景として、土を採取する土地の気候は季節によって変化するという点が挙げられるでしょう。ですから、まったく同じ分量で配合をしても、春と夏では出来上がる土の硬さや保水性に違いが生じてしまうのです。そこで、グラウンドのクオリティーを維持するため、ブレンドの方法に春夏違いがあるというわけです。
例えば、甲子園球場がある地域は春の時期に雨がよく降ります。そのため、砂を多く含む土を多めに混ぜることによって、安定した足場を作り出しています。甲子園球場の水はけが良いのは、こうして土作りの段階から綿密に計算されているからです。
夏の時期には日差しが強くなり、白球が光に反射して見えづらくなる傾向があります。そのため、少しでもボールを見やすくするために、色が黒めの土を多めに混ぜています。
年や季節によって環境や状況は常に変化します。ですから、グラウンド用の土づくりも「春はこの配分」「夏はこの配分」といった明確な規定がありません。
ただし、大まかな目安はあります。春は黒土:白土の割合が5.5:4.5、夏は黒土:白土の割合が6:4前後を基準としています。この配合を念頭に置きつつ、熟練した職人が気候や天候などを観察しながら、複数の土から適したものを厳選していきます。
甲子園の土は買えるの?
甲子園で使われている土は、甲子園球場が全国各地の産地に直接オーダーを入れているわけではありませんし、甲子園のバックヤードなどで大量の土が管理保管されているというわけでもありません。
土の管理やメンテナンスを行っているのは、球場のそばにある園芸ショップです。このショップは、企業向けのサービスのみを行っているので、残念ながら私達が気軽に足を運んで購入できるといったサービスは行っていません。
球児にしか手に入らない
甲子園球場の土がどこからやってくるのか分かれば、そこへ直接連絡すれば、土を購入できるのではないかと考える人がいるかもしれません。しかしそういうことはなく、基本的には球場の土は一般市民向けに販売はされていません。そのため、甲子園に出場しない限りは、球場の土を手に入れることは難しいでしょう。
一時期は甲子園の土と同じ配合の土が「グラウンドキーパー用の土」としてネット販売されたことがありましたが、こちらは注文が殺到し過ぎて販売中止となってしましました。
さらに、10袋(1袋15ℓ)からの販売に変更しましたがこちらも転売などの問題が発生して中止になったと言われています。現在は大口の企業向け販売のみで、転売禁止などの契約があるそうです。
一般市民にもチャンスはあるかも
しかし、甲子園90周年記念など区切りの年には、球場周辺で甲子園球場の土を入れたキーホルダーを無料配布されたこともありました。そのため、将来も何かの区切りの際には、高校野球に青春をささげた球児でなくても、土を購入できる機会はあるかもしれません。
まとめ
- 土を持って帰る習慣の起源は解っていない
- 甲子園の土はブレンドされ計算されている
- 春と夏でも違いがある
- 個人で買うのは難しい
甲子園の土を手に入れたいと考えた人はいるのではないでしょうか?子供が野球をやっているなら喜ばせたいと思っている親御さんも多くいると思います。甲子園の土をあげられなくても、話をするだけでも子供はきっと喜んでくれるでしょう。
今回は「甲子園の土」についてのお話しでした。