湘南とはただの幻想なのか?論争は決着つかず市構想は消滅!

2020年8月26日

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今回は「湘南」についてのお話しです。

湘南にどんなイメージを持っているかはきっと人それぞれでしょう。マリンスポーツ?シラス丼?花火大会?渋滞?知っているようで知らない湘南に関する素朴な疑問にせまっていきたいと思います。

湘南はどこからどこまで?

湘南と言えば神奈川県の相模湾沿岸の地域を指し、夏には関東圏内からの海水浴場としてにぎわい、マリンスポーツなども盛んに行われている日本でも有名な場所です。

ですが、実際に「湘南」という地名は存在せず、明確に湘南の範囲が定められていません。湘南という地名が無いことを知らない人も多く、湘南の区域は人により様々です。

例えば「大磯から葉山」という意見や「茅ヶ崎から葉山」という意見。さらには「湯河原から三浦」と相模湾沿岸に隣接する全ての市町村を湘南とする人もいるのです。

明確な線引きが無い為、「ココは湘南だ」「湘南じゃ無い」とそれぞれの意見が飛び交い、湘南定義論争が度々起こっています。

湘南の由来は?発祥の地は?

神奈川県は旧国名で相模と呼ばれ、相模湾など旧国名の名残が現代でも残っている地域はあります。しかし、湘南は歴史的な地域や地名等の名残でもありません。名の由来には諸説あると言われています。

相模の南部説

ひとつは相模の南部分にある地域の説です。湘南と呼ばれている地域は相模湾沿岸。つまり神奈川県の南側に位置する地域を対象にしています。この相模の南部分を「相南」とし、さらにサンズイ(氵)を付けて湘南にしたという説です。

湘南という地名があって湘北という地名はありませんが、県の北部分を「北相地区」と呼ばれます。また、湯河原や真鶴、小田原など相模湾の西側に位置する地域を「西湘」とも呼ばれます。

中国由来説

もうひとつは、中国が関係している説です。中国には湘江(しょうこう)別名湘水(しょうすい)という800km以上も流れる川があり、そのほとんどを湖南省という地域に沿っています。この湖南省と湘江に因んで湘南と呼ぶ様になったという説です。ただ、何故湖南省だったのか、何故湘江の川だったのか明確な根拠はわかっていません。

発祥の地

諸説ある湘南ですが、湘南発祥の地という場所が存在しているのをご存知でしょうか。相模湾沿岸、大磯町の俳諧道場に「著盡湘南清絶地」と刻まれた標石があります。「鴫立沢」と名付けられたこの地は江戸時代初期からあるとされ、湘南発祥の地として周知されています。

曖昧だけど魅力的な湘南

日本では有名な地名で、地方在住の人でも湘南という言葉を知っている人は多くいます。

サーフィンの聖地

神奈川県藤沢にある鵠沼海岸は、年間を通して丁度良い波が安定して多いことから、サーフィンの聖地として人気で世界からも注目されているエリアです。素人からベテランまで多くの人が集まることから、海岸付近にはサーフショップも数多く立ち並んでいます。

またサーフィン以外にもスタンドアップパドルボード(SUP)なども楽しめ、マリンスポーツが出来る環境として高い人気を誇っています。

デートスポット

特に海水浴シーズンになればメディアなどでも多数取り上げられ、東京からなら片道1時間半ほどの距離という手軽さから混雑しやすい海岸とも言えます。

またドラマや映画のロケ地、アニメや漫画にもたびたび登場する江ノ島は、デートスポットとしても人気の場所です。江の島以外にもここでは紹介しきれないほどのデートスポットが湘南エリアには存在します。

飲食店も充実しているので広すぎず狭すぎない湘南エリアはデートにはうってつけでしょう。

湘南ナンバー

湘南は特に若者からの注目を集め、1994年に湘南のナンバープレートが誕生した当時は、登録申請時には長蛇の列ができるほどでした。

平塚や藤沢、茅ヶ崎など15以上の市町が該当し、湘南に魅了されている若者を中心に人気のナンバーとなっています。この湘南ナンバーにしたいが為に住所変更を考える人もいたかもしれません。

しかし、マリンスポーツのイメージもある鎌倉市、三浦市、逗子市、三浦郡葉山町などは横浜ナンバーに振り分けられたり、なぜあそこが湘南ナンバーなんだと議論となったことを覚えている人もいるかもしれません。

馴染み深い有名人も

そして湘南に馴染み深いアーティスト、有名人も多く存在します。湘南は大小関わらず一年中音楽フェスが行われている地域でもあります。馴染のある有名人がゲストで登場した時の盛り上がりは想像に難しくないでしょう。

また、毎年様々なコンテストも行われています。「湘南クイーン」「湘南ボーイ」と夏や青春というイメージが強く、湘南という呼称に爽やかな印象を持っている人も多くいるでしょう。

湘南ブランド

湘南はブランディングに大成功した地区と言えるでしょう。湘南というブランドで周辺の経済が潤っていると言えるほど、湘南地域に住む人々にとって大切なモノになっているのです。湘南と言う地域が住民にとってアイデンティティの一部になっているのかもしれません。

また夏が好きな若者の中には、湘南に憧れを持ち上京する人もいることでしょう。

過去にあった湘南市構想

場所が明確に定められていない曖昧な地域とも言える湘南。実は、2000年頃に「湘南市」の新設が計画されていました。

二宮、大磯、平塚、寒川、茅ヶ崎、藤沢の6市町を合併し、新たな市を新設するという計画で、この市名に湘南の名前が使われようとしていたのです。誕生すれば相模原市より大きな政令市となっていたでしょう。

ところが、統一地方選挙によって合併反対派が勝利したことで湘南市構想は白紙となっています。仮に勝利していれば、明確化された湘南市があったのかもしれません。

これまでにも沢山のメディアで湘南という地域の範囲について論じられてきました。湘南の範囲を決定したという情報は多くありますが、その答えで湘南の範囲が決定されるのでは無く、一説として取り扱われているにすぎません。

今後も、白紙となった湘南市構想の様に、県や政治が関わり民意を問うほどでなければ湘南の範囲は明確にはならないのでしょう。

しかし、湘南という場所が存在しているのは明らかで、神奈川県民は「それぞれの湘南」を作りあげています。湘南と言う呼称にも住んでいる地元にも愛着を持っています。湘南市構想の白紙がそれを物語っていると言えるでしょう。

まとめ

  • 湘南という地名はない
  • 由来は諸説、発祥地はある
  • 湘南は魅力的な場所
  • 湘南市構想は白紙になった

夏のイメージが強い湘南ですが、春も秋も冬もそれぞれ楽しめます。特に冬場は空気が澄んでいるので、日中にはきれいに富士山が見え、黄昏時には幻想的な夕日を楽しむこともできます。

今回は「湘南」についてのお話しでした。

 

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Posted by tomoto