有名な「権力」の実験を知ってますか?
海外で行われた権力に関する有名な実験があります。社会心理学者のデヴィット・キプニスが、大学生と高校生を対象とした、架空の組織を作って行った権力についての実験です。
簡単に説明すると、大学生を上司、高校生を部下の役割に分け、更に大学生を「強い権力チーム」「弱い権力チーム」に分け権力に差を設けて、大学生にこの組織を繁栄させるには大学生の役割がより重要だと伝えました。その結果、大学生達にどの様な事が起こったかを観察した実験です。
あたも嫌な権力者に必ずなる?
結果を先に言うと「弱い権力チーム」は組織の繁栄の為に部下の役割である高校生と積極的にコミュニケーションを取り説得し組織の繁栄の為に努力をしました。
しかし「強い権力チーム」はコミュニケーションや説得と言う手段ではなく、配置転換や賞罰を与えて高校生を意のままに動かそうとしました。さらに脅しに近い様な条件(解雇や減給)を使って支配的に頻繁に指示を出したり命令しだしたりするケースも増えました。ついには部下(高校生)を低く評価し、良い結果は自分のおかげだと言わんばかりの高い評価を自分にしたのです。
決して見逃せない他人事ではないデータ
この実験では、全員の大学生に強弱の差こそあれ上記と同じ現象が現れたと言うのです。つまり、権力を持つと嫌な奴になるのは必然なのかもしれないと言う事です。ここまで読んで既に数人の顔が浮かんでいる人もいるのではないでしょうか。しかし、あなたも強い権力を持つと嫌な奴になるかもしれないと言う事も言えそうです。
さらに、実験の後で大学生に高校生も呼んで皆で歓談しましょうと誘う実験も行いました。この歓談への大学生の参加者は「強い権力チーム」は「弱い権力チーム」の2倍以上だったと言う事です。ただの実験だったにも関わらず実験が終了した後も「強い権力者気分」が抜け切れなかったと言うのです。
実験ですら抜けない「強い権力者気分」ですから毎日行う仕事上での役職や上下関係などはなおさら抜けにくく、職場での人間関係やプライベートでの第三者への言動等への影響もあると言えるかもしれません。この辺は、飲み会や行事等でよくみうけられるかもしれません。
出世してイヤな奴になって嫌われない為のチェックポイント!
この様な一連の悪循環を「権力の堕落」と言います。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。自分が出世してこの様な人にならない為に、また転職先・部署変後の上司や先輩がこの様な人なのかこまめにチェックしましょう。
- 「権力の墜落」を知っている
- 「権力の墜落」に陥らない様に注意している
- 人事異動を頻繁に行う(他人に重要な原因があると思っている)
- 賞罰で他人をコントロールしようとする
- 支配的、強迫観念を利用して部下を動かそうとする
- 自分が言わないと部下は怠ける、さぼると感じている
- 自分の貢献度に比べて部下は使えないと感じる
- 成果の比重の大部分は自分にあると思っている
- 態度も発言も偉そうで大きい
「権力の堕落」にズッポリハマっている権力者のいる組織は疲弊し衰退していきます。当たり前ですが、部下はやる気も体力も奪われ思考も停滞する可能性が高まります。そんな組織と手を組んで助け合っていこうと言う組織もまれでしょう。組織の活性化など夢物語となってしまうかもしれません。
それでも我が物顔で部下を支配的にコントロールし、部下を入れ替え続ける権力者がいるのが悲しい現状なのかもしれません。
出世したり権力を持つと失いやすいもの
さて、人が出世したり権力を持つと失いやすいと言われてるものがあります。是非とも確認してください。
- 共感能力(人の気持ちが解らなくなる、理解しようとしなくなる、他者と調和しようとしなくなる)
- 肩書や役割の影響力(部下や後輩が地位や権力にではなく自分に集まって、自分ついてきていると考える)
- 視野狭窄(他人の意見や考えへの尊重が減り、自分の意見や考え決定が優れていて正しいと思いたがる)
- 正当な評価(無意識に権力者と言う現状を維持する決断を下しやすい・他人目線が難しくなる・人のせいにする)
- 謙虚な心(お金を渡す側、評価を下す側が立派で偉いと言う価値観に浸って行く・人を駒の様に使う)